不倫が一度だけで終わるはずがない

不倫が一度だけで終わるはずがない

不倫願望を叶えるために出会い系に登録する人妻は多い。
その大半は「一度だけ」という制約を自分に課すらしい。
一度だけの火遊びなら神さまは許してくれるだろうと。

その点男も同じだろう。身体だけの関係とはいえ不倫は不倫。妻にバレたらただでは済まない。
何回か抱いて満足したら別れようと最初は思うだろう。

甘い。

男女がいったんセックスに目覚めたら一度や二度じゃ終わらない。
俺のW不倫がいい例だ。
「一度だけ」で済むはずが、もう二年になる。

出雲市でその女に出会ったのは秋が深まった十一月。
旧暦十月は神さまが不在になるため神無月というが、逆に出雲地方では、日本中の神さまが集まるので「神在月」と呼ぶ。
日本中の神々が出雲につどうこの時期、俺と佳澄の不倫が始まった。
神さまは「一度だけ」の願いを叶えてくれず、褒美か罰か、ずるずると出口の見えない不倫を続けることをお命じになった。

俺は四十歳。妻とのセックスから遠ざかって五年になる。
倦怠期をむかえたことはわかっていたが、対策を打つことはしなかった。
すれ違いが多い共働き夫婦にとって、夜の生活は夫婦唯一のコミュニケーションの場でもある。
それがなくなった今、結婚生活は冷えびえとしている。
こんなことなら子どもでも作っておくべきだったと思う。

不思議なのは妻が不平不満を言わないことだ。
ほとんど家庭内別居に近い暮らしなのに、文句ひとつ言わない。
俺の勘だが、職場の誰かとできているのかもしれない。
たまに遅く帰ってくることがあるが、その夜は決まって風呂が長い。
湯の中で情事の余韻にひたっているのか、情事の汚れを丁寧に落としているのか。

そんな妄想からくる嫉妬の末、俺は出会い系に登録し相手を探した。
俺だって外で女と寝るんだ。割り切りでもいい。とにかく妻以外の女と寝たい。
妻の不倫している事実をつかんだわけではないが、俺はかたくなにそう信じ報復を試みた。

相手はすぐに見つかった。
似たような事情で不倫願望を抑えきれなかった人妻の佳澄(三十五歳)だ。

出産後、夫から見捨てられてような生活を送っているという。

「女は子どもを産んだら終わりなのかしら」

などと言う。

「体重はなかなか元にもどらなかったし、魅力はなくなったかもしれないけどさ。いきなりセックスレスはないでしょう」

ぽっちゃりした体型が俺には魅力的に見える。
乳も尻も、妻にはない女の豊かさに満ちていた。

W不倫は刺激的だった。
スリル満点で、会う前から既にセックスが始まっている気がした。

人目を盗んで移動し、誰もいないところでこっそり落ち合う。
互いを確認したらそれぞれ距離をおいて同じ方向に歩き、別々にホテルに入る。
出てくるのも別々。
言葉ひとつ交わさず、それぞれ闇に消えていく。

こうやって細心の注意を払って会うのだから、二人きりになったときの燃え方は半端じゃない。
恥じることなく互いの性欲をさらけ出し、満たし合う。
経験豊富な二人だから、どうしたら自分が満たされるか知っている分、おのずと過激になり、執拗になる。
今日はこの前より感じたいと。もっと快感を得たいと。

最近、こっそりと妻のスマホを盗み見た。
パスワードを偶然知ったからだ。

メールの送受信記録を見たが、男と会っている可能性はほとんどない。
実家の母と俺、いつもミカンを送ってくれる愛媛の友人くらいしか名前が出てこない。
妻が不倫しているというのは、俺の思いこみの可能性が高い。
と考えると、俺は一方的に妻を裏切っていることになる。

できれば早く足を洗いたい。
家庭内別居しているが悪い女ではないし、一生をともにしたいと今でも思う。

何かの競技のような騎乗位セックスで汗をかいた後、淫らな格好のまま寝そべる二人。
何気に聞いてみた。

「覚えてるか? 二年前のこと。佳澄は一度きりで別れたいとか言ってたよね」

「そんなこと言ったっけ。覚えてないな」

体をすりよせてきて、俺の肩に唇を当てた。
佳澄のほうを向いて、頭を抱き寄せる。

「もう離れられないな。お互い家族を捨てて結婚するか?」

「夫と別れる気はないわ。セックスのパートナーとしては最悪だけど、夫としては最高だもん」

佳澄も似たようなことを考えている。

「じゃあ別れるか? 俺たち」

「それもできそうに、あ、り、ま、せ、ん」

とコミカルに言って、俺をぎゅっと抱きしめる佳澄。
胸に当たる豊かな乳房にムラムラし、二回目のセックスに沈んでいく。

出雲の神々は慈悲深いのか、それとも残忍なのか。

下界の俗人にはわからない。

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